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弁理士試験論文式試験 (選択科目) について

選択科目試験 弁理士試験

はじめに

 例年、7月下旬の日曜日には、弁理士試験の論文式筆記試験のうち、選択科目の試験が行われます。2026年(令和8年度)は、7月26日(日)に実施されました。

 選択科目では、6つの科目の中から、受験願書の提出時に選んだ問題を解答します。

 この試験は、一度合格すると、その後の弁理士試験では永続的に免除されます。また、所定の学位公的資格を有している場合にも免除を受けられるため、実際に選択科目を受験する人は比較的少なくなっています。筆者も、修士の学位に基づいて免除資格の認定を受けたため、選択科目の試験は免除されました。

 今回は、この論文式筆記試験の選択科目について見ていきます。

選択科目の試験について

 弁理士試験は、短答式筆記試験、論文式筆記試験、口述試験の3段階で行われ、論文式筆記試験は必須科目と選択科目に分かれています。

 なお、弁理士試験全体については、こちらの記事にも記載しています。

 また、試験の概要については、特許庁のこちらのページに記載されています。

 選択科目では、次の6つの科目から1科目を選びます。さらに、それぞれの科目に設けられた選択問題の中から1つを指定します。

 選択科目及び選択問題は、受験願書を提出する際に指定します。一度願書を提出すると、その年度内に変更することはできません。

 選択科目と選択問題は、次のとおりです。

(1) 理工I (機械・応用力学)

 主に機械工学系の分野です。
 選択問題は、材料力学流体力学熱力学土質工学です。

(2) 理工II (数学・物理)

 主に物理学系電気工学系の分野です。
 選択問題は、基礎物理学電磁気学回路理論です。

(3) 理工III (化学)

 主に化学系の分野です。
 選択問題は、物理化学有機化学無機化学です。

(4) 理工IV (生物)

 主に生物学系の分野です。
 選択問題は、生物学一般生物化学です。

(5) 理工V (情報)

 主に情報工学系の分野です。
 選択問題は、情報理論計算機工学です。

(6) 法律

 選択科目は、民法です。

 弁理士は、特許発明などの技術的な内容を扱う機会が多い士業であるため、理工系の選択科目が分野ごとに設けられています。一方、理工系以外の受験者などは、法律科目として民法を選択することもできます

 弁理士試験を対象とした一部の資格試験予備校では、選択科目の対策として民法講座を設けています

 理工系の問題では、大学入試の記述式問題から大学の専門課程における定期試験程度まで、選択した分野に関する計算力専門知識が問われます。

 例えば、令和8年度理工Ⅱのうち回路理論では、「二端子対回路」「RC回路の過渡応答(過渡現象)」「直流回路(キルヒホッフの法則)」などが論点となっていました。

選択科目の免除について

 論文式筆記試験の選択科目には、過去の選択科目合格学位に基づく認定公的資格などによる免除制度があります。以下では、学位及び公的資格に基づく主な免除制度について見ていきます。

(1) 修士、博士、専門職の学位

 修士、博士又は専門職の学位を有し、その学位に係る論文や研究成果の内容が、選択科目の対象分野に該当すると工業所有権審議会から認定された場合には、選択科目の免除を受けられます

 大学院を修了しただけで自動的に免除されるものではなく、事前に必要書類を提出し、免除資格の認定を受ける必要があります。認定された免除資格は、永続的に有効です。

 詳細は、特許庁のこちらのページに記載されています。

 免除資格認定通知書は、弁理士試験の受験願書を提出する際に必要となります。そのため、受験予定年度の申請期限を特許庁の案内で確認し、余裕をもって準備を始める必要があります。

 提出書類には、卒業した大学や大学院に発行を依頼するものもあります。特に、学位論文概要証明書については、指導教授等の証明を要するため、早めの準備が必要です

 指導教授が退職や異動などによって大学にいない場合には、大学の事務室などに相談し、証明方法を確認することになります。

 筆者も、修士の学位に基づいて免除手続を行いました。手続を始めたのは、受験前年の10月から11月頃です。

 当時、指導教授はすでに退官されていたため、大学の事務室に相談しました。その結果、同様の分野を専門とする別の教授に証明していただき、完成した書類を後日、自宅へ郵送していただきました。大学の方々には、非常に丁寧に対応していただきました。

 また、手元に修士論文がなかったため、大学図書館に収蔵されていた修士論文を閲覧し、その内容を確認しながら論文概要を作成しました。

 このように、卒業後かなりの期間が経過している場合には、書類の準備に時間を要することがあります。免除申請を予定している方は、できるだけ早い時期から大学等に問い合わせることをお勧めします。

(2) 公的資格

 選択科目6分野に対応する所定の公的資格を有していることを証明することにより、選択科目の免除を受けられます。こちらも、免除は永続的に有効です。詳細は、こちらに記載されています。また、技術士選択科目の対応は、こちらに掲載されています。

① 理工I  (機械・応用力学)

 一級建築士、所定技術部門の技術士など

② 理工II (数学・物理)

 第一種電気主任技術者免状第二種電気主任技術者免状の交付を受けている者
 所定部門の技術士など

③ 理工III (化学)

 薬剤師、所定の技術部門の技術士など

④ 理工IV (生物)

 所定の技術部門の技術士など

⑤ 理工V (情報)

 電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者
 情報処理安全確保支援士試験の合格証書の交付を受けている者
 応用情報技術者試験その他、法令で定められた情報処理技術者試験の合格者など
※ なお、ITパスポート試験基本情報技術者試験免除対象にはなりません

⑥ 法律

 司法書士行政書士

     対象となる資格技術士の部門情報処理技術者試験の区分については細かく定められているため、実際に免除申請をする際には、特許庁が公表している最新の一覧 (こちら) を確認する必要があります。

    結び

     論文式筆記試験の選択科目は、必須科目とは別の日に実施される、1時間30分の記述式試験です。

     一度合格すれば、その後の弁理士試験では永続的に免除されます。また、修士、博士若しくは専門職の学位に基づく認定や、所定の公的資格によって免除を受けられる場合もあります。そのため、弁理士試験の受験を考え始めた段階で、自分が免除要件に該当する可能性があるかを確認しておくとよいでしょう。

     特に、学位に基づく免除では、学位論文の概要大学側の証明などが必要となるため、卒業後長い期間が経過している場合には、手続に時間を要することがあります。受験年度の直前ではなく、できるだけ早い段階から準備を進めることが大切です。

     選択科目の試験が終わると、論文式筆記試験の必須科目と併せて合格発表が行われます。論文式筆記試験に合格した受験者は、最後の関門となる口述試験へ進むことになります。

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