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私が知財の世界に興味を持った理由 ~La Bussola IP Officeを始めるまで~

その他

はじめに

 La Bussola IP Officeを開設して、しばらく経ちました。

 今回は、私がどのように法律や知的財産の世界に興味を持ち、どのような思いでこの事業を始めたのかを、少し書くことにします。

法律や知財の世界に興味を持った理由

 私が法律に関心を持つようになったきっかけの一つは、企業で働く中で感じた、いくつかの「変だな」という違和感でした。

 仕事をしていると、組織の中では当然のように行われていることでも、「本当は何が正しいのだろうか」「制度や法律の上では、どのように考えるべきなのだろうか」と感じる場面がありました。そのような経験から、法律についてきちんと学んでみたいという気持ちが生まれました。

 もう一つのきっかけは、学生時代の法学の授業です。

 私は理系の学部に在籍していましたが、文系科目も数単位履修する必要がありました。正直なところ、最初はあまり積極的な気持ちではなく、必要に迫られて法学の授業を履修しました。

 ところが、法律の授業で、日本国憲法の「信教の自由」について学んでみると、これが思いのほか面白いものでした。法律は、単に条文を覚えるものではなく、事実を整理し、原則や条文にあてはめて、筋道を立てて考えていく学問なのだと感じました。

 そのロジカルな考え方は、どこか理系の考え方にも通じるものがあり、法律に対する印象が大きく変わりました。

 その後、研究所で働いていた頃には、特許について関心を持つきっかけがありました。

 研究開発の現場では、「日本は米国や中国に比べて特許戦略が弱い」といった話を耳にすることがありました。また、3Dプリンターに関する技術について、「日本発の研究や開発があったにもかかわらず、事業化や特許戦略の面で海外に先行された」、という趣旨の講演を聞いたことも印象に残っています。

 優れた技術があっても、それをどのように守り、活用し、社会につなげていくかによって、その後の展開は大きく変わります。そのことを知り、特許という制度について、もっと学んでみたいと思うようになりました。

 さらに、仕事を探していた時期に、特許事務所の求人を見つけました。

 その面接の場で、特許や商標などの知的財産を扱う専門家として「弁理士」という資格があること、そして弁理士試験というものがあることを知りました。

 そこから特許法をはじめ、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法などを学ぶようになりました。

知的財産の学習について

 実際に弁理士試験の勉強を始めてみると、知的財産法はとても奥深く、面白い分野でした。一方で、条文も制度も複雑で、初めて学ぶ人にとっては非常に難しい分野でもあると強く感じました。

 最初は独学で学び始め、知的財産管理技能検定3級を取得しました。しかし、弁理士試験については、ある程度の点数までは取れても、そこから合格点に達するには大きな壁がありました。

 こうした経験から、条文の読み方、制度趣旨、判例、審査基準、そして試験特有の考え方などを正しく理解するには、予備校のような専門的な講義を受ける必要があることもわかりました。

 もちろん、専門的な学習が必要な分野であること自体は当然です。しかし同時に、知財に興味を持った人が、最初の段階で「難しすぎる」と感じて離れてしまうのは、とても惜しいことだとも感じました。

 特許、商標、意匠、著作権といった制度は、研究者や企業だけのものではありません。個人事業主、クリエイター、学生、留学生、教育関係者、地域で事業を始める人など、多くの人に関係するものです。

 だからこそ、もっとわかりやすく、知財に関心を持つきっかけを作れないだろうか。その思いが、今の情報発信やLa Bussola IP Officeの活動につながっています。

La Bussola IP Office の由来

 La Bussola IP Officeの「La Bussola」は、イタリア語で「羅針盤」を意味します。知財の世界は、初めて触れる人にとっては、どちらに進めばよいのか分かりにくいことも多い分野です。

 その中で、進む方向を一緒に考える羅針盤のような存在になれれば、という思いを込めています。  これからも、知財の歴史や身近な事例を通じて、特許、商標、著作権などの制度を、できるだけわかりやすく発信していきたいと思います。

結び

 また、弁理士試験の学習や受験指導の場を通じて、性別・年齢・職業・国籍を問わず、多様な方が知財を学んでいることも実感しました。

 だからこそ、日本人はもちろん、日本で知財を学ぶ外国人や留学生にとっても、わかりやすく学べる入口がもっと増えてよいのではないかと思うようになりました。

 La Bussola IP Officeでは、知財に興味を持った方が、最初の一歩を踏み出しやすくなるような情報発信や相談対応を行っていきたいと考えています。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 アイキャッチ写真は、弁理士試験の口述試験を受けた際に、会場前で撮影した梅の木です。