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弁理士短答式試験をAIと解いて感じたこと ― 問われるのは人間の判断力

知財あれこれ

はじめに

 令和8年の弁理士試験・短答式試験が、2026年5月17日 (日) に行われ、2026年5月18日 (月) の夕方、特許庁から問題と解答がアップロードされました。

 私も、昨日の試験を数問(特許・実用新案法)解いてみました。また、AIを用いて問題を解くことも試してみました。

 実際に問題を解いてみた印象と、AIを用いて解いてみて考察したことを、今回のブログのテーマといたします。

解いてみた印象

 私が解いてみた特許・実用新案法に関してみれば、今年も個数問題(正しい選択肢/誤った選択肢 がいくつあるか を問う問題)が多く、各選択肢の正誤を正確に判断できるかが問われていました。

 また、複数の条文が細かく関係する問題や、趣旨や判例を問う問題も目立ちました。趣旨については青本(工業所有権法逐条解説)の解釈が問われていたり、根拠条文が見つかりにくい問題が目立ちました。

 選択肢も長いものでは7行に達するものもあり、時間のプレッシャーもかかる中で、正確に問題文を読み取る力も問われていると感じました。

 しかしながら、問題文が何を問うているのかを理解できれば、意外と根拠は素直に導けるようにも感じられました。

 少なくとも私が検討した範囲では、細かな条文知識や制度趣旨の理解が問われる問題が多く、決して易しい問題ではないと感じました。

AIと解いた上での考察

 はじめに、ここでの考察は、私が特実の一部の問題を検討した範囲でのものです。また、AIの回答精度は、使用するAIや与える条件、参照資料の有無によって大きく変わります。そのため、ここではAI一般の能力を評価するというよりも、「短答式試験では、条文の文言だけでなく、制度趣旨や条文相互の関係を読む力が重要になる」という観点から書かせていただきます。

 昨今、東京大学入試問題や、大学入試共通テストの問題をAIで解いたところ、首席合格できるレベルだったり、ほぼ満点が取れるレベルだと報道されています。

 では、弁理士試験の短答式試験の問題をAIで解いてみるとどうか、という観点で考察します。

 結論としては、AIでも何問か誤答していました。正答率は60%くらいでしょうか。やはり、複雑な事例設定の問題であったり、青本の細かい趣旨を問うている問題に引っ掛かる印象でした。しかしながら、論点を抽出することは概ねできていた印象でした。

 AIの回答は、あくまで検討の出発点であって、最終的な根拠にはなりません。最終的には、条文、審査基準、青本などの一次資料に戻って確認する必要があります

 AIが普及しても、法律を学ぶうえで大切なのは、条文の文言だけでなく、その背後にある制度趣旨や全体構造を理解することだと改めて感じました。

 つまり、短答式試験では単に条文を検索できるだけでは足りず、条文相互の関係や制度趣旨を踏まえて判断する力が重要だということです。

 AIを使えば情報の検索や整理はしやすくなりますが、その情報をどう位置づけ、どの条文・趣旨と結びつけて考えるかは、やはり人間の理解力が問われる部分だと感じました。

全体的な考察

 今回、一部の問題を検討する中で、AIは「論点のあたりを付ける」ためには有用だと感じました。
もっとも、最終的な判断には、条文の文言、条文相互の関係、制度趣旨を人間が確認し、吟味する必要があります。

 AIの回答をそのまま採用するのではなく、AIを手がかりとして使い、人間が判断する。そうした使い方をすると、複雑な問題でも比較的整理しやすくなるように感じました。

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