はじめに
2026年2月に、「令和9年度から弁理士試験制度が変わります」と題した特許庁のリーフレットが公開されています。
主な内容は、選択問題の統合と、出題範囲の見直しとなっています。今回は、具体的にどのような変更となるのか見ていきます。
なお、選択科目の試験については、「弁理士試験論文式試験 (選択科目) について」もご参照ください。
選択問題の見直しの背景
現行の論文式試験 (選択科目) では、6科目・15の選択問題の分類となっているところ、変更後は6科目・9の選択問題の構成に見直されます。
この理由としては、「受験者が5人に満たない選択問題が散見されている」ため、「問題作成に対するフィードバックが乏しく」、「選択問題間の難易度の公平性を担保することが難しくなる」とのことです。
従って、「各選択問題の受験者を一定数確保」すべく、「各科目の基礎的な分野への統合」及び「他の選択問題において技術的知識を測ることで代替できる選択問題の廃止」を行うために選択問題を見直すこととされています。
選択問題の見直しとともに、選択問題を基礎的な内容を中心にすることで、難易度を調整することが検討されています。
具体的にどう変わるか
現状の科目が6科目であることには変更ありませんが、各科目の選択問題が統廃合されることによる変更が生じます。また、各科目とも基礎的な内容が中心となるように問題構成が変更になるとされています。
理工I (機械・応用力学)
主に機械工学系の分野ですが、選択問題からは「流体力学」「土質工学」が廃止され、「材料力学」「熱力学」の2つの選択問題となります。
理工II (数学・物理)
主に物理学系や電気工学系の分野ですが、選択問題からは「回路理論」が廃止され、「基礎物理学」「電磁気学」の2つの選択問題となります。
理工III (化学)
主に化学系の分野ですが、選択問題は、「物理化学」「有機化学」「無機化学」が統合され、「一般科学」1つの選択問題となります。
理工IV (生物)
主に生物学系の分野ですが、こちらは選択問題に変更はなく、「生物学一般」「生物化学」の2つの選択問題のままとなります。
理工V (情報)
主に情報工学系の分野ですが、選択問題は、「情報理論」「計算機工学」が統合され、「情報基礎 (情報理論・計算機工学・通信工学)」1つの選択問題になります。統合に際し、通信工学の分野を新たに包含する形となります。
法律
選択問題は、「民法」で変更はありません。
なお、免除制度についての変更はありません。
免除制度については、「弁理士試験論文式試験 (選択科目) について」に記載していますので、ご参照頂けますと幸いです。
どう対処すべきか
科目の統廃合により、例えば「回路理論」が専門だった場合は、別の選択問題で受験することとなります。しかし、同分野でも「基礎物理学」や「電磁気学」の問題に直ちに対処できるとは限りません。
各選択問題について、従来よりも基礎的な内容を中心とした出題となるよう見直される予定ですが、実際の難易度や必要となる学習範囲については、令和9年度の試験問題が公表されるまで判断が難しいところです。
特に令和9年度の受験生にとって難しいのは、新しい選択問題について過去問が存在しないことです。そのため、従来の関連する選択問題の過去問を参考にしつつ、大学教養課程から専門基礎程度の参考書で基本事項を確認する、といった対策が現実的になると思われます。
来年度以降は、過去問が公開されるため、過去問を中心に対策ができると考えられます。
また、科目構成に大きな変更のない「法律」で受験することも考えられます。ただし、民法は技術系科目とは性質が大きく異なるため、「変更がないから簡単」というわけではありません。また、「法律」も今回の変更によって科目構成に変更はないものの、出題形式は他の科目に合わせた変更がある可能性もあるので留意が必要と考えられます。
従って、自分の専門分野やこれまでの学習経験を踏まえて選択する必要があります。
結び
令和9年度から選択科目の試験制度が見直されることにより、選択科目の試験対策が変わってくる可能性があります。基礎的な内容を中心とするとは発表されていますが、具体的な対策については、予備校の情報や対策講座などを通して行うことが現実的となりそうです。
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