弁理士になるための全体の流れ ― 弁理士試験から実務修習、弁理士登録までの全体像

弁理士コラム

はじめに

 知的財産権の専門職である弁理士になるための一般的なルートは、弁理士試験に最終合格することです。弁理士試験については、先の記事で取り上げたように、短答式試験・論文式試験・口述式試験に合格する必要があり、最終合格率が例年おおむね5~10%の難関となっています。

 弁理士試験の最終合格発表は、例年、11月上旬にあります。弁理士試験に最終合格をした後はどうなるのでしょうか?

 晴れて弁理士試験に合格してから弁理士になるためには、日本弁理士会の行う実務修習を終了し、日本弁理士会に登録する必要があります。

 今回は、弁理士試験の全体のスケジュールをおさらいしつつ、合格後の流れを時期・費用の面から見ていきます。

弁理士試験から弁理士になるまでのスケジュール

 ここで、弁理士試験から弁理士登録までの流れをおさらいします。なお、日程は例年の実績をもとにした目安です。

弁理士試験

 弁理士試験の例年の日程を以下に示します。弁理士試験については、特許庁のこちらのサイトが参考になります。また、日程等の受験案内については特許庁のこちらの資料が参考になります。

  1. インターネットによる受験願書の請求 (2月上旬~3月中旬)
  2. 受験願書の交付 (3月上旬~3月末)
  3. 受験願書の提出 (3月初頭~4月初頭) ※ 受験料 12,000円 を特許印紙で納付
  4. 短答式試験 (5月第3日曜日)
  5. 短答式試験合格発表 (6月上旬)
  6. 論文式筆記試験 (必須科目) (6月第4日曜日)
  7. 論文式筆記試験 (選択科目) (7月第4日曜日)
  8. 論文式試験合格発表 (9月中旬)
  9. 口述式試験 (10月中旬の土・日・月曜日)
  10. 最終合格発表 (11月上旬)
  11. 合格証書送付

 弁理士試験に最終合格をすると、実務修習に入ります。

実務修習

 実務修習については、日本弁理士会のこちらのサイトが参考になります。

実務修習の日程は、令和7年度の実績をもとに記載しています。
令和8年度以降の日程や実施方法は変更される場合があります。

  1. 受講申込 (11月中旬) ※ 申込期間が1週間程度、受講料 118,000円
  2. 実務修習の実施期間 (12月初頭~3月末) ※ e-ラーニング配信は12月初頭~2月末
  3. 開講式・ガイダンス (12月初頭) ※ オンライン開催
  4. コース決定・テキスト等送付 (12月上旬)
  5. 最初の起案 (課題) 提出 (12月中旬) ※ PDFデータで提出
  6. オンライン集合研修 (1月上旬~2月上旬) ※ 3時間研修が全7回 (7) 修了式 (3月中旬)

 実務修習の修了証書が送付されると、弁理士登録の手続ができるようになります。実務修習の内容については、別記事で取り上げる予定です。

 なお、令和8年度実務修習の受講申請期限は、2026年11月18日(水)(当日消印有効)とされています。最終合格発表から申込期限までの期間が短いため、早めに準備しておくことをおすすめします。

弁理士登録

 日本弁理士会への登録には、以下の手続が必要です。詳細は、日本弁理士会のこちらのサイトが参考になります。

  1. 必須書類の準備 (申請書、弁理士試験合格証、実務修習修了証書など)
  2. 登録免許税の納付 60,000円
  3. 弁理士登録料及び登録当月分会費の納付 計 50,800円

 登録の手続については、別記事で取り上げる予定です。

弁理士登録後

 日本弁理士会に登録すると、会費として毎月 15,000円 を納付するとともに、5年間で70単位(70時間相当)以上の継続研修を受講する必要があります。このうち、倫理研修10単位は必修となっています。

弁理士になるための時間と費用の概算

 弁理士になるためには、試験や実務修習に多くの学習時間が必要になるほか、登録までに一定の費用がかかります。ここでは、それぞれの目安を見ていきます。

弁理士試験の学習時間

 弁理士試験の合格までに必要な勉強時間は、1,500~3,000時間程度が目安として紹介されることがあります。筆者もアプリで勉強時間を計測したところ、論文式試験の勉強を始めてからの総学習時間が1,500時間を超えていました。

 なお、短答式試験合格までは勉強時間を計っていませんでしたが、実感としては、1日2~3時間の勉強を1年少々続け、約1,000時間の学習時間だったと思います。

 したがって、筆者の場合は、合計で2,500時間以上を弁理士試験の勉強に費やした計算になります。

実務修習の学習時間

 合格後も、実務修習では約50時間のe-ラーニング研修と、1回3時間・全9回のオンライン集合研修(計27時間)を受講する必要があります (令和7年度の実施内容に基づく目安)。さらに、集合研修に先立って起案課題を作成する必要があり、これにも相当の時間がかかります。

弁理士になるための費用の概算

 弁理士になるための費用は、基本的な費用が 240,800円 で、その他の諸費用を含めると25万円程度がかかる見込みとなります。

 この費用の内訳は、弁理士試験の受験料 12,000円、実務修習の受講料 118,000円、弁理士登録のための登録免許税 60,000円、弁理士登録費用及び初月会費 50,800円、その他証明写真や住民票などの費用です。

 さらに、弁理士登録後は、弁理士会費が毎月 15,000円 かかるため、1年で 18万円の支出となります。

 もっとも、弁理士会費や弁理士になるための費用は、特許事務所や会社が負担してくれる場合もあります。

 なお、上記の費用には、予備校の受講料や参考書代、試験会場までの交通費などは含まれていません。これらの費用を含めると、弁理士になるまでに相当な費用が必要となる場合があります。

結び

 以上のように、弁理士になるには、弁理士試験の願書請求から弁理士登録まで、順調に進んでも1年以上かかる長丁場となります。

 また、弁理士試験合格後も実務修習が続き、時間と費用がそれなりにかかることになります。実務修習は、段ボール箱いっぱいの教材が届き、起案課題の提出とe-ラーニング研修、オンライン集合研修とややハードな日が続きます。それだけ、弁理士には専門的な知識だけでなく、実務的な能力も求められるのだと感じます。

 筆者は、知財とは違う分野にいたため、弁理士試験後の流れが全く分からず、時間と費用の確保に難儀しました。また、登録の手続も書類の準備などに時間がかかります。筆者も登録手続には都合2カ月近くかかりました。

 弁理士に新たになるためには、合格後の時間確保と資金計画も併せて検討する必要があるといえます。

 弁理士になるためには、多くの時間と費用がかかりますが、それだけ、弁理士資格を取得した後の達成感もありますし、知財の世界の奥深さや楽しさも見られるようになります。筆者も弁理士になった今なお、知財の世界には学びたいことがたくさんあります。

 この先の記事では、実務修習の内容について取り上げたいと思います。

参考資料

「弁理士になるには」日本弁理士会

「弁理士登録申請について」日本弁理士会

「弁理士試験」特許庁

「弁理士会の実務修習とは ― 申込・費用・日程と受講体験を紹介」

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