はじめに
近頃、電車の路線名や駅名に、カタカナや平仮名を用いた長めの名称を用いる例がよく見受けられます。例えば、東武アーバンパークライン (東武野田線) や、高輪ゲートウェイなどです。
これらは「鉄道キラキラネーム」と揶揄されることもありますが、そこには鉄道の持つ大きな役割や思いが込められています。
今回は、東武アーバンパークラインを例に、路線名・駅名とブランド戦略について見ていきます。
東武アーバンパークラインとは
東武アーバンパークラインは、埼玉県の大宮駅から、岩槻駅、春日部駅を通り、千葉県に入って野田市駅、柏駅を経て船橋駅までの全長62.7kmの路線です。大宮から柏にかけては、国道16号とおおむね同じ方向に首都圏郊外を結んでいます。
この路線の正式名称は東武野田線で、東武アーバンパークラインは2014年に導入された愛称になります。
沿線の千葉県流山市、柏市、鎌ケ谷市などは東京都心から20~30km程のベッドタウンに位置しています。
更に、流山・柏方面ではつくばエクスプレス、新鎌ケ谷方面では北総線など、他の鉄道路線との接続や鉄道網の整備も進み、沿線各地で都心へのアクセスが向上しました。
こうした沿線環境の変化の中で、東武鉄道は新型車両の投入や「東武アーバンパークライン」という愛称の導入など、路線イメージの向上を進めていきました。
鉄道の役割
鉄道の第一の役割は、「ヒト、モノを安全かつ効率的に輸送する」ことです。更に、私鉄などでは沿線に街を開発してヒトが鉄道を利用する動機も提供してきました。
これは、かつて東急が進めた多摩田園都市や、阪急の小林一三氏による宝塚などの開発にも見られました。すなわち、鉄道による輸送だけでなく、街づくりのデベロッパーとしての側面も持っています。
鉄道会社や開発事業者は、街づくりの理念をネーミングにも反映してきました。例えば、東急の「たまプラーザ」は、広場を中心に街が広がっていくことへの願いを込めて名付けられ、その後、多摩田園都市の中核として発展していきました。
アーバンパークラインも、沿線の街づくりと一体化したブランド作りとみることができると考えられます。

商標登録について
「アーバンパークライン」は、東武鉄道によって商標登録されています。路線の愛称を商標として保護することには、単に名称を定着させるだけでなく、鉄道輸送や関連する事業において、第三者による同一・類似の名称の使用からブランドを守る意味もあります。
また、東武鉄道は沿線で住宅開発なども行っています。鉄道の名称と沿線の街づくりに共通したブランドイメージを持たせることで、「アーバンパーク」という言葉を、路線だけでなく沿線地域のイメージにも結び付けていくことができます。
2014年6月には「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」の街びらきも行われています。
結び
鉄道の路線名や駅名のネーミングは、それ自体が沿線のイメージ向上の役割を担っています。一方、近年開業した路線でも、東急新横浜線・相鉄新横浜線のように従来のような地名を路線名にしたケースもあります。これは、「どこへ行く路線なのか」を分かりやすく伝える案内表示としての役割を重視したものといえます。
鉄道会社は、単に人を運ぶだけでなく、住宅、商業施設などを開発しながら沿線の街を育ててきました。その意味では、路線のネーミングも街づくりの一部と考えることができます。
「東武野田線」から「東武アーバンパークライン」へ。単なる「鉄道キラキラネーム」に見える長い愛称の背景にも、鉄道と街を一体としてブランド化し、沿線価値を高めていこうとする戦略が隠れているのかもしれません。
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