カテゴリー

新型夜行列車「ルナ・アズール」の商標登録出願を考察する

E657系 商標とブランドの話

はじめに

 2026年6月9日火曜日、JR東日本は、夜行運転に対応する特急列車「ルナ・アズール」についてプレスリリースで発表しました。(出典:JR東日本プレスリリース「夜行運転に対応する特急列車により新たな乗車体験を提案します」)

 「ルナ・アズール」は、現行の特急「ひたち」「ときわ」に使用しているE657系特急型車両を改造し、東北方面への夜行運行を想定した新たな特急列車です。

 特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で「ルナアズール」と入力して商標検索すると、「ルナ・アズール」という文字商標の出願 (商願2026-064135) と、「Luna Azul」という図形商標 (ロゴマーク) の出願 (商願2026-064136) の2件がヒットしました。

※ 列車の正式名称は「ルナ・アズール」ですが、J-PlatPatで検索する際は「ルナアズール」と入力しました。

 以前のブログでは、「JR東日本の新たな夜行特急『ルナ・アズール』に見る意匠登録の世界」と題して、さまざまな形で意匠登録出願がなされていることを取り上げました。

 今回は、「ルナ・アズール」がなぜ商標登録出願されたのかについて考察します。

ルナ・アズールとは

 「ルナ・アズール」は、JR東日本が新たに投入する夜行運転に対応した特急列車です。「ルナ・アズール」は、スペイン語で「青い月」を意味する“Luna Azul”に相当し、夜の月や車体、夜空の青を連想させる名称となっています。

 ロゴマークは、円の中に、青の濃淡による幾何学的な模様で構成された三日月を描いたものとなっています。ロゴマークからは、神秘的や未来感・夜の静寂といったイメージを感じさせます。

ルナ・アズールの商標登録出願

 「ルナ・アズール」は、「ルナ・アズール」の名称を文字で表した文字商標と、ロゴマークを表した図形商標の2つの商標が出願されています。どちらも、プレスリリースが公表される5日前の2026年6月4日に出願されています。なぜ、商標登録出願をしたのでしょうか?

 商標登録出願をした主な理由として、「ルナ・アズール」のブランドを保護し、第三者による名称への便乗や、ブランドの信用が損なわれることを防ぐ目的があると考えられます。

 もし、商標登録を受けていなければ、他者が「ルナ・アズール」の名称やロゴを使用した場合に、商標権に基づいて差止めや損害賠償を求めることはできません。一定の場合には不正競争防止法などによる保護を受けられる可能性もありますが、商標登録を受けておくことで、登録された商品・役務の範囲について、より明確な権利に基づいて対応できます

 また、第三者に先に商標登録出願をされると、JR東日本による名称の使用や商標登録が制約され、紛争や追加的な対応が必要になるおそれもあります

 このように、名称やロゴについて商標登録を受けることは、JR東日本が「ルナ・アズール」というブランドに蓄積していく信用を守ることにつながります。また、利用者にとっても、名称やロゴを手掛かりとして、JR東日本が提供する正規の列車サービスや関連商品を識別しやすくなります。これは、商標法第1条が掲げる「商標を使用する者の業務上の信用の維持」と「需要者の利益の保護」にもつながるものです。

結び

 ルナ・アズールについては、列車の名称とロゴについて商標登録出願がされているだけでなく、車両の外観や内装などについても意匠登録出願がされています。JR東日本が、列車そのものだけでなく、名称、ロゴ、デザインを含めて一体的なブランドを構築しようとしていることがうかがえます。

 次回以降は、なぜ「ルナ・アズール」が文字商標と図形商標の双方で出願されているのかを考察します。

知財に興味を持った方へ

 La Bussola IP Office では、知財の勉強方法、資格取得、キャリアについてのご相談も受け付けています。

 知的財産をこれから学んでみたい方、弁理士試験などの資格取得を考えている方、知財を仕事やキャリアに活かしたい方は、お気軽にご相談ください。