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第1回 世界最古の特許法は、なぜ15世紀ベネチアで生まれたのか

知財の歴史

導入

 世界で初めて特許法が成文化されたのは、ルネサンス期の15世紀、繁栄していたベネチアでした。
なぜベネチアで、世界初の特許法が生まれたのでしょうか。その理由を見ていきましょう。

背景

 15世紀のベネチアは、地中海貿易の拠点として大いに繁栄していました。商業の発展とともに、造船業、ガラス工芸、絹・毛織物工業、印刷技術などの分野でも技術が進歩し、周辺諸国の羨望を集めていました。

問題点

 商業と産業が発展する一方で、ベネチアの技術が国外へ流出することが問題となっていました。周辺諸国が、技術者や技術そのものを引き抜いていったためです。

 ベネチアは、技術者の移動を禁止するなどの厳しい措置を講じましたが、十分な効果を上げることはできませんでした。

対応策

 そこでベネチアは、技術を保護し、技術者のモチベーションを高めるため、1474年に「発明者条例」を制定しました。これは、世界最古の成文特許法とされています。

 その内容は、新規で独創的な技術に対して10年間の独占権を与え、保護するというものでした。登録制度や、侵害時の損害賠償・罰金の規定など、現代の特許制度の基礎となる仕組みがすでに備わっていました。

結び

 特許制度は、特別な天才のために生まれたものではありません。国が豊かになる中で生じた悩みに、現実的に向き合った結果、生み出された仕組みだったのです。

 なお、同じ時代のベネチアでは、複式簿記も発展し、お金の動きを正確に記録する仕組みが整えられていきました。発明もお金も、「見えない価値を記録し、守る」ことが重要になっていたのです。

 次回は、ベネチアとほぼ同じ時期に、英国のヘンリー6世による特許状の付与が開始されたことを取り上げます (第2回 15世紀イギリスの特許状 ― ヘンリー6世の特許制度)。

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